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便失禁

あなただけではありません。便漏れは約500万人の方が悩んでいます。適切な治療を行い以前の生活を取り戻しましょう。

便失禁とは

便失禁とは、無意識のうち、または意思に反して便が排泄される状態です。
一番大きな原因は、肛門括約筋の機能が低下する事ですが、肛門のしまりに異常が無くても漏れてしまう事があります。

便失禁は約500万人が悩んでいる病気ですが、年だからしょうがない、恥ずかしくて相談できない等 4人に3人は家族にさえ打ち明けることできずに一人で悩んでいる事が多い病気です。
しかし、便失禁はほとんどが薬での治療等で治療前よりも生活が楽になる病気です。恥ずかしがらず、あきらめず受診して下さい。

便失禁の症状からの分類

便失禁の分類は症状からの分類と原因からの分類でなされます。

漏出性便失禁

便意を感じずに、いつのまにか便が漏れている状態
内括約筋機能の低下や損傷、骨盤内臓神経の機能低下や損傷、直腸肛門感覚の低下などが原因。
便失禁の49%が漏出性便失禁です。

切迫性便失禁

便意を感じるが、我慢できずに漏れてしまう状態
外肛門括約筋の損傷や機能低下、陰部神経の損傷や機能低下、直腸の貯留能の低下や進展性の低下などが原因。
便失禁の16%がこの切迫性便失禁です。

混合性便失禁

漏出性と切迫性の両方がある状態
漏出性と切迫性の混合が原因。
便失禁の35%が切迫性便失禁と漏出性便失禁の療法の症状を持っているといわれています。

便失禁の原因からの分類

外傷性便失禁

分娩時括約筋外傷、肛門直腸手術時の括約筋外傷、会陰、肛門の外傷などが原因。

神経原性便失禁

脊髄損傷、脊髄疾患、末梢神経疾患(多発性硬化症や糖尿病など)、中枢神経疾患(パーキンソン病や脳血管障害)などが原因。

突発性便失禁

加齢、経産婦、括約筋変性などが原因。

その他

直腸脱による失禁、直腸癌手術後、過敏性腸症候(IBS)などが原因の便失禁

便失禁の検査

問診

病歴チェックシートを用いて便失禁の状態を診察します。

全身の診察、腹部肛門の診察

全身、腹部肛門の診察をします。

血液検査、腹部レントゲン、腹部骨盤CT

血液検査で糖尿病等がないかチェックします。
腹部レントゲン、CTで腹部臓器、大腸直腸の形態、位置をチェックします。

排便造影検査

排便時の直腸肛門の動き、直腸と肛門の角度を観察します。

直腸肛門機能検査

直腸肛門の反射、肛門括約筋の強さ、直腸の貯留能、直腸感覚を検査します。

肛門超音波検査

肛門括約筋の損傷、肛門周囲の異常が無いかを検査します。

便失禁の治療

生活習慣の改善

食事や排便などに関する生活習慣をみなおすことで便失禁の症状が改善する事があります。
適度な運動は便失禁の症状改善にはとても大切です。

食事指導

食物繊維を多く含んだ食品や食物繊維加工食品の摂取をこころがけましょう
1日20から25gが目安です。
飲酒やカフェインなどは控えましょう

骨盤底筋体操

弱くなった骨盤底筋を鍛え、筋力をつけることが大切です。
5秒くらい尿道、肛門、膣をぎゅっと締めてゆるめます。
これを2~3回繰り返します。
最初は短い時間から初めて、徐々に長く締めていき回数も徐々に増やしましょう。
大切なのは無理せず行い、毎日続ける事です。

薬物治療

少し下着が汚れる程度であれば、下痢や軟便の水分を少なくするお薬などでよくなる事が多いです。

低周波治療

経肛門や臀部に低周波をあてる治療です。一週間から二週間に一度受診し、1回の治療時間は約20分から30分程度の治療です。患者さんは横になっているだけの治療です。

バイオフィードバック

肛門の筋肉の閉め方、力の入れ方を訓練します。

順行性、逆行性浣腸

便が直腸に残っていて漏れてしまう場合は、浣腸を行って直腸に便が残らないようにしてあげる事で便漏れが防げる場合があるため、自分で浣腸を行えるように指導します。

アナルプラグ

便失禁用の肛門タンポンを使用して便の漏れを防ぎます。

手術

上記の治療を行っても生活に支障がある場合は手術を検討します。

肛門括約筋形成術

肛門を閉める筋肉(肛門括約筋)を縫い合わせる手術です。

仙骨神経刺激療法(SNM)

SNMとは排便に関連した神経を心臓ペースメーカに似た小型の刺激装置で継続的に電気刺激を行う療法です。
欧米では20年程前から施行されており有効性が認められております。
日本では平成26年4月より保険適応となり、当院でも施設認定を取得しております。(茨城県では平成26年9月現在当院のみです。)